創業のきっかけになったのは、特別支援学校で生徒たちと校外学習に出かけたときに冷たい視線を何度も感じたことです。理解ない人をにらみ返すような先生でした。

「社会って大人がつくってる。私も大人だから何かできるんじゃないか。」と思うようになったころに、長女の妊娠と共に自身の難病が発覚しました。

治療に懸命に取り組みました。最後の手段である手術もしましたが、全ての治療法が私には効きませんでした。日常生活の中に死の危険性がある私は、入院生活、ドクターストップ・・・制限の中で生きなければならなくなりました。

この頃、人生で初めて死をイメージするようになりました。私は「公務員で安定した人生でよかったな～」とは絶対思わない。「やりたいこと全部やってやった！」と思いながら最期を向かえたいと思うようになり、

私の人生理念『誰かのために、いのちをつかう』が誕生しました。

何かあったらすぐに病院にいくことを約束して退院。数種類の投薬で予防しながら学校にも復職しました。ただ、何からしていいのか分からず、福祉施設に特別支援教育で培った技術と知識を伝えることから始めました。

それから中学校の特別支援学級に異動になり、私の人生を変える生徒たちに出会いました。
担任をしたクラスには、軽度の知的障がいがある生徒が9人在籍していました。家庭環境も様々で、ひとり親家庭、経済的に不安がある家庭、きょうだいがいない一人っ子も多く、将来的に自分の力で生きていかなければならない生徒が何人もいました。

私はなんとしても「生きる力」を身に付けさせたいと思い、キャリア教育を充実させたいと考えましたが、私は大学を卒業してからずっと学校で働いてきたため、企業のことがわかりませんでした。

企業を知らない私が予想でキャリア教育を行うよりも企業と共にキャリア教育を行うべきだと考えたのと、作っては壊して繰り返し使う作業訓練をどうしてもさせたくありませんでした。頑張ってつくったものを壊すなんてしたくなかったことと、どうせ壊すとわかっているものに生徒が本気を出し続けるわけがないことが予想できたからです。

内職学習の授業に企業の内職を取り入れることはできないか、知り合いの経営者さんにご協力のお願いをして回りました。そこで承諾をしてくださったのが名古屋市熱田区にある株式会社メイナン様です。

授業中に内職に取り組む様子をみていただいただけでなく、インターンシップにも行かしていただき、企業の基準や評価に基づいてご指導をいただきました。この企業と取り組むキャリア教育の成果に私自身驚くほど生徒たちが成長していきました。

この教育を広げていきたいと考え「教育と企業と福祉を繋ぐ」ことをコンセプトとした特定非営利活動法人
障がい者みらい創造センターを設立しました。はじめは学校の作業学習の授業に企業の内職を取り入れることを広げていきたかったのですが、うまくいきませんでした。

働く力を身に付けさせる方法にせっかく気づいたのに、私が教員を続けていたら担任として受けもつ数人にしか教えてあげられない…。天職だけど、辞める時がきたことを感じました。でも、私は公務員を退職して本当の意味で起業する勇気はありませんでした。

「頑張ればなんでもできる！」「自分の力を信じなさい！」私がよく子供たちにかけていた言葉です。でも私は、自分自身の力を信じていないことに気が付きました。子供たちだけ挑戦させて、私は自分ができることしかやっていない…。

一緒に挑戦していこう！　やってやろう！　どうせやるなら社会を変えよう！
本気でそう思い、経営者になる覚悟をしました。

健康上の心配もありましたが、病状が落ち着いて５年が経過し、生命保険に加入できることがわかりました。そして、私の子供が小学校にあがり、少し手が離れるタイミングで公務員を退職することを決断しました。

2017年3月31日に公務員を退職、翌4月1日に4名のスタッフを迎えて一緒にみらせんジュニア熱田教室をオープンしました。これが当法人の創業までのストーリーです。