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『知的障がい者の給与と国の意識問題』

2017.12.23

一般就労(福祉じゃない場所で働く)している知的障がい者の平均月額賃金っていくらだと思いますか? 知的障がい者は約11万円です。この金額、どう思われますか?
ちなみに、身体障がい者は約22万円・精神障がい者は、約16万円です。

最低賃金制度ってご存じですか?国が法律で賃金の最低額を定めていて、愛知県の最低賃金は871円です。最低賃金の871円で知的障がい者の平均月額賃金約11万円を稼ぐには、単純計算で1か月に126時間、1週間で18時間、週休2日だと1日3.6時間の労働時間になります。

この時点で疑問に感じませんか? 知的障がい者は1日に3.6時間程度しか働いていない訳ではありません。

あまり知られていませんが『最低賃金の減額特例許可制度』があり、この制度を使うと最低賃金を下回って賃金を設定することができます。

例えば、その会社の一般的な従業員の平均労働力を100とした場合、障がい等の理由からか70の労働しかできない従業員について労働局に申請をすると賃金の30%をカット、60の労働の場合は40%をカットすることが認められ、能力に合った報酬にすることができます。

この制度により1日に5時間~7時間程度働いていても知的障がい者の月額賃金が11万前後になるということです。

減額特例許可制度について「障がい者雇用は企業の義務だから社会貢献のためにも障がい者の賃金を減額するべきでない」と主張している団体もありますが、私個人の意見としては、この制度を周知し、どんどん利用するべきだと考えています。

その主な理由は、下記の4つです。
①企業が金銭的に雇用しやすくなる。
②障がい者雇用で働く従業員に対して他の従業員から理解が得られやすくなることがある。
③能力以上の労働を求められなくなり ( 求める必要がなくなり ) 、お互いのストレスが減る。
④能力に合った昇給をしやすくなり、モチベーションが上がる。

先日、経営者さんから「最低賃金が上がって一般のパートさんも採用しにくい。」という話があり、知的障がい者の特性や雇用時に起きるかもしれない問題等と合わせて減額特例制度を説明したところ、知的障がい者雇用のメリットを理解され、雇用に向けた実習の受け入れをスタートされました。

この制度を説明する時に「能力が他の従業員さんと同じだった場合、障がいを理由に無駄なカットはしないでください。」と合わせて説明をします。すると、ほとんどの経営者さんは「当たり前です!」「働いてくれた分はしっかり払います!」と話してくださります。

それを聞く度に
「従業員を大切にしている経営者さんしかいないのか、従業員を大切にしている経営者さんの会社しか残っていかないのかな。」なんて思います。

資料として厚生労働省が出している減額特例許可制度の説明や申請書をUPします。

見て頂くとわかるのですが、愛知県のHP・厚生労働省のHP共に『精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い者』てワードになっています。

『おい! 知的障がいのワードは?? 国や行政が知的障がい者を「労働者」として認めていないからこんな説明文になってるんじゃないの? 国や行政がこんな態度なら、知的障がい者雇用への理解が進む訳ないじゃん! 障がい者雇用の制度と一緒に文面も見直せよ!』なんて思います。

そして、世の中にはたくさん知的障がい者の支援団体があるのに、なんで雇用の分野になると意見をださないんだろう…。「知的」の言葉も入れろ!と抗議するのに値する文面だと思うのですが、その動きがないということは、支援団体のほとんども知的障がい者は労働者ではないという認識なのか、力がないのか、はたまた雇用問題に興味がないのか…。

名古屋市のHPも見てみたら、そもそも減額特例許可制度の説明自体がない…。ほんと障がい者雇用に対しての意識が低すぎる…。

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